プロダクトマネージャーの仕事をサッカーで語ってみる (その2)

選手時代のグアルディオラ

前回はプロダクトマネージャーの周りにいるプレイヤーにどんな人達がいるかを解説してきた。それを踏まえて本題に入っていこう。

(引き続きサッカーを文脈に話すので、読んでてよくわからない人は読み飛ばしてください)

冒頭いきなりグアルディオラの写真を持ってきたのには理由がある。彼のプレースタイルに、プロダクトマネージャーとしての真髄が現れていると考えるからだ。人によって同じポジションならピルロでいいじゃんという意見もあるだろうが、ちょっとここはグアルディオラにこだわって話をする。

彼のプレースタイルの特徴として3点挙げられる。それとプロダクトマネージャーの仕事の交差点を書いてみた。

1. 抜群の視野の広さに裏打ちされたパス展開

目の前の相手をかわすこと以上に、フィールド全体を見て1番ゴールの可能性があるところにパスを出す。グアルディオラはそれが非常にうまかった。彼がバルセロナでプレーしていたのを見ると、中盤のボール回しはほぼ彼を経由して行われる。当然敵はそこをつぶしにくるわけだが、そこでマークが緩くなった味方に、相手が唖然とするような大きな展開のパスを通す、そんなシーンがよくあった。それは逆サイドへの展開にもなるし、3列目からの縦へのスルーパスという形だったり。これは彼が味方がどう動こうとしているか常に把握しているという、視野の広さと、そこに長短関係なく正確にパスを通す技術力の賜物だ。

 

2. 試合の流れをコントロールする状況判断

試合は常に一方的に進むわけではない。競合のプレッシャーがきつい、相手に押し込まれて劣勢な(大きなトラブルを抱えている)状態、イレブンのとあるメンバーが微妙に機能していない等々、いつも万全とはいかない。グアルディオラはそんな中でも何をすべきかに迷いがない。例えば、

– この時間帯は引いてボールを回しチャンスを伺う
(ポストセールス部隊と連携して問題解決を速やかに図り、カウンターを狙う)

– あるいは少ないパス交換で縦へのスピードを狙う
(顧客が思わず頷くロードマップやソリューションの提供)

– 左右にボールを振ってプレッシャーを分散させる
(単純に営業・SEチームに攻撃を委ねるのではなく、他の社内リソースを巻き込んで攻撃のバリエーションを増やす)

– バランスの悪いところは修正するよう働きかける。
(機能していないポジションや攻めの形については、どのように修正すべきか自ら提案を持ちかけ立て直すようリードする)

こうした判断を的確に行っている姿はプロダクトマネージャーと相通づるところがある。

 

3. チームに安心感をもたらす精神的主柱

かつてバルセロナで同僚だったリバウドはグアルディオラがいないと調子がでないということを言っていた。彼が試合に出ると出ないではメンバーの勢いが違うのだ。彼がいるだけで試合に勝てる(気持ちになれる)、というのはチームにとって大きな財産。

プロダクトマネージャーも同様だ。前線がゴールを狙う局面で(顧客にセールスをしかける場面)製品責任者であるプロダクトマネージャーがしっかりしていると話がしやすいし、聞いてる側も安心できる。「この人なら聞けば答えてくれるし、困ったときでもなんとかしてくれる」という思いが、チームに活気をもたらすのだ。逆に言えばそれだけ頼られることが多いということであり、その期待に応えられるだけの準備(技術的、ビジネス的にも)を常に高いレベルでしておくことが要求される。「その件は持ち帰って・・」ということが頻発すれば、当然チームの信頼を失う。それは、せっかくの攻めの場面でバックパスを繰り返したり、相手にボールを奪われたりするようなものだ。

 

最後に、なぜピルロではなくこのグアルディオラを選んだか。それは圧倒的な実績が彼の哲学を証明しているから。選手としてリーグ戦、カップ戦でタイトルを13回、バルセロナオリンピックで金メダル、さらに監督転身後も14回タイトルを獲得している。(ちなみにピルロ自身もグアルディオラを尊敬する選手として指摘している)

 

ということでプロダクトマネージャーの仕事についてサッカーという文脈の中で解説してみたがなんとなくイメージついただろうか?ご意見・ご質問等あれば遠慮なくコメント欄か、「お問い合わせはこちら」まで。

プロダクトマネージャーの仕事をサッカーで語ってみる (その1)

ここ最近サッカーの世界では大きなニュースがいくつか続いた。なかでも注目だったのは、先日の日本 VS オーマン戦で、爽快な試合をしてくれた日本代表。香川がマンチェスターユナイテッド移籍を確定させ、まもなく欧州選手権が開催、グアルディオラ監督がバルセロナを去ったこと。どれも1つの記事になってしまうくらいのニュースだが、そんなサッカーモードな状態で本日のお題、プロダクトマネージャーの仕事について書いてみる。

(かなり主観で書くのと、サッカーに興味のない人は読みづらい可能性があるので、見苦しい所は飛ばしてください)

シリコンバレーで働いていると、時々サッカーをプレーしているような錯覚に陥る時がある。
(別に場所がシリコンバレーである必要はないかもしれないが)

なぜか?

それは、こちらの働き方が、各々の磨かれたスキルを持った個人が連動してチームという組織で動くからだ。ふと思い立って、ブラジル人の同僚に下のようなフォーメーションを見せてみたらこれが大ウケ。彼も同意してくれた。

ゴールをあげる(= ディールをクローズする)という観点で各役割を配置すると、3-4-3に収まる。今回はプロダクトマネージャーの周りにいるプレイヤーについて簡単に解説する。(外資のIT系がどんな人々で成り立っているかも合わせて参考にしていただきたい)

まずはわかりやすい前線から。いわゆる営業とSEがココ。ディールをクローズするのに直接関わる人達。アカウント営業とは特定の顧客にダイレクトに営業をしかける人。チャネル営業は代理店経由で数字を上げる人。そしてSEはその技術力を使って、プレゼン、デモ、ベンチマークテストと多彩に攻撃を作り顧客を落とす。ポイントは彼らは頻繁にポジションチェンジを行い、ゴールへの形(クローズへのシナリオ)を決定付ける。上図ではSEが中盤の司令塔となっているが、局面では営業が司令塔になり、SEが前線に立つこともある。

ディフェンスライン(= ポストセールス)にはいわゆるサポート部隊、QAテスト、キーパーに開発部隊を置いた。考え方としては、彼らはゴールを上げるシーンで直接顔を出すことはあまりない。むしろ攻めこまれた時(顧客に問題が起こりセールスから遠ざかる時)にむしろ目立つ人々。ことエスカレーションと呼ばれる人々(以前自分も担当した)は、守りの要となる。QAチームや開発そしてプロダクトマネージャーをうまく使って「組織的に」失点(=ディールのロスト、顧客の信頼低下)から守っていく。もちろん、後方での球際の強さ(技術力)、1対1の対人プレー(顧客が怒ってけしかけてくる)の場面でも強くないと、相対したときに相手の攻撃(言い分、怒号?)をかわせないし、カウンター(信頼回復からの次のビジネスチャンス)の起点となれない。

そして中盤である。

まずはプロダクトマーケティングが右サイド、左サイドは”Variable(可変)”、テクニカルマーケが中盤の底上がり目、プロダクトマネージャーはボランチ、とした。この左サイドには訳がある。そのディールの性質によって、ある時はアライアンス部隊、またある時はもう一人プロダクトマネージャー(例えばハードウェアや特定のチップ担当などSubject Matter Expertと呼ばれる人)、またはコーポレートSEと呼ばれる、顧客に大掛かりなデモを見せたりする人を配置するためだ。よってかなり左サイドで技巧的なプレーが要求される。

プロダクトマーケティングは基本的に会社の外に各種のメッセージを発したり、ブランディング、イベント周りを担当するということで、サッカーで言うところのサイドアタッカーの色が強い。

同じマーケでもテクニカルマーケティング(これも先日まで自分が担当した)はまた異なる。前線のマークが厳しい(顧客が素直に話を聞かない、競合からのプレッシャーがきつい)時に攻撃参加し、ゴールのチャンスメークを手伝う。よって、局面を打開するための高い技術力が求められると同時に、マーケターとしてのパスセンス(他のポジションへのコミュニケーション能力)も要求される。時に自らミドルシュートを狙い、マークを引き寄せ前線を楽にすることも行う。

さて、こうした各種のプレイヤーがいる中でプロダクトマネージャーは一体どんな役割を担うのか? 次回へ続く。