SDNへの新たなアプローチ – Network Function Virtualization

DC in Barcelona

礼拝堂のなかにあるデータセンター  in バルセロナ

2013年の世界のIT市場の中で間違いなくHot WordのSDN。そんなSDNに対して自分が働くJuniper Networksがどんなスタンスで挑もうとしているのか、最近ニュースが流れた。

Light Reading – Juniper’s SDN Will Build Service Chains
http://www.lightreading.com/software-defined-networking/junipers-sdn-will-build-service-chains/240146332

この記事だけだとわかりづらいところがあるので自分なりに解説してみます。
(あくまで個人的見解としてのものです。会社としての公式見解ではありません。)
まずはSDNって結局何を実現するためのものか?の理解からおさらいしてみよう。

Increase flexibility of network  (ネットワークの「自由度」をあげる)
ハードウェアやチップ、ベンダーによる機能や振る舞いの差異を超えて、ユーザーが使うアプリケーションの要件に応じたネットワークリソース(帯域、QoS、遅延要件等々)が動的にアサインされる

 

Reduce time to market for new services  (新規サービス展開までのスピードをあげる)
アマゾンでは11秒ごとに新しいコードが、1時間に最大1000回もデプロイされている。こうした「常時更新」があたりまえのクラウドサービスの世界において、これまでネットワークの世界はあまりに切り離された状態だった。しかしSDNはアプリケーションでの変化をネットワークの世界へと伝播させることで、リソース最適化を速やかに行うことを狙う。

 

Reduce capex and opex  (設備投資と運用に関わる費用の削減)
そして、上記2点はここに収斂。例えばDCの規模(物理・仮想サーバーの台数、電源・熱効率、ストレージ容量等々)は今後も増え続ける=コストがかかる。維持・拡張のための定期的な投資は避けられないにしても、今ある機材の投資効率がSDNによって上がり、また管理の負担も減るならその経済的メリットは大きい。

 

で、この3点を達成するためにSDNがやってくれることは、

 

ネットワーク上の司令塔(Control Plane)とその命令に従ってデータを転送する役者達(Dataplane)をわける。そうすると個別のネットワーク機器を設定管理する必要がなくなり、司令塔役の装置だけで全てを集中管理できるようになる。逆に上記の「自由度」や「展開スピード」にあたる細かい設定は司令塔で一括で行い、例えばDC内にある数百台のネットワークデバイスに自動展開などなど。

 

一方Juniperがやろうとしているのは、

 

(Juniper Networksの)ネットワーク機器が持つFunctionを外にも広げる。ここでいう「外」にあるデバイスはx86商用プラットフォームならなんでも。これがNetwork Function Virtualizationのコンセプト。

 

もともとJuniperの機器で動くOS、JUNOSはControl PlaneとData Planeが別れた作りをしている。なのでわざわざSDNで説くような「全く別の」Control Planeを用意するのはそもそも2度手間。むしろ、今すでに商用レベルの機能を水平展開していくほうがいい。そして要件に応じて各Control Planeが「次々に」必要な機能をOnにしたりOffにしたり、リソースを割り当てたり、これがLight Readingの記事にある”Service Chain”のコンセプト。ただ、全く司令塔役の集中管理デバイスがいらないかというと、そういうわけではない。ネットワークマネジメント部分は集中すべきだし、全体としての整合を取るのにSDN Controllerにあたるもの必要と考える。しかし、おそらくOpenFlow Controllerのようにガチガチになんでも集中的に管理というレベルではない。分散したものを自律的に束ねる仕組みはQfabricでも経験済み。そしてContrailを買収したあたりをみても分散したControl Planeを互いに同期しあうアプローチを想定している模様。

 

「自由度」や「展開スピード」を実現するのにOpenFlow型アプローチが全てではない。Juniperのように Loose-Centralize なアプローチのほうが実はscale out しやすいしここがおそらくJuniperとしての違いを出すところなんでしょう。

 

次の5年はコレ!世界のITの潮流を読むために知るべき10個のトレンド

The Warships in Sillicon valley
(Source: 先日のWIREDの記事から)

シリコンバレーで展開されるウェブ系の技術エリアは上図の島に代表されることは異論は無いと思う。一方、それを支えるインフラ側の技術も大きなうねりが現れている。iPad miniの発表に比べれば華やかさはないかもしれないが、インフラが変わるとその上で動くアプリやビジネスもガラっと流れを変えるインパクトがあるのでiPadとて無関係ではない。

本日ガートナが発表した以下10個の大きなうねりは、ベンダーサイドにいてもひしひしと感じるものばかり。(というか一部はうちでも率先してやっている)

詳細な翻訳は他のウェブメディアがやってくれるのではと期待して、本稿では私個人の見解でざっくりと要約を。

Source: http://www.networkworld.com/news/2012/102212-gartner-trends-263594.html

1. Disruptive

「破壊的」が1番最初に。これはDisruptive Innovation からきているのかと思ったら大間違い。もっと根本的なことを悪い意味で指摘している。何が「破壊的」か?それはユーザーエクスペリエンスです。ビジネスパーソンはスマートフォンに代表される「軽い」動作のアプリに慣れてしまい、社内で使うシステムのパフォーマンスの遅さときたらストレスがたまる一方。自分が社内で使うアプリやシステムに不具合があれば連絡するものの、解決までの時間がかかり生産性を阻害。ユーザーエクスペリエンスはBtoCの中でよく論じられるが、実はエンタープライズITといった世界でも大きなOpportunityとなっているわけです。

2. Software Defined Network

去年から今年にかけてHype CurbをたどってきたSDN。ここから5年くらいかけてSDNが本当にマーケットとしてユーザーに定着していくかの正念場。ご承知のとおり、OpenFlowは単なるインプリの1形態でしかありません。くれぐれもSDNとOpenFlowはイコールでないのでお間違いのないよう。

3. Bigger data and Storage

ここ2年くらいですっかり定着しましたね。すでにシリコンバレーでは熱いです。特にストレージ関連のベンチャーは積極採用中。マイクロソフトも最近ストレージのスタートアップを買収したりと、このエリアはまだヒートアップしそう。さらに、日本で報道されたかわからないがUSではつい最近もAmazonがストレージ障害を発生。障害が障害を呼び(snowball effect)、結局12時間ほどダウン。

Amazon outage started small, snowballed into 12-hour event
http://www.networkworld.com/news/2012/102312-amazon-outage-263617.html?source=nww_rss

Big DataがどんどんBiggerになり、それに対応するストレージ周りもスケールと耐障害性、障害対応力の両立の観点でこれからも伸びていくでしょう。

4. Hybrid Clouds

例えば先日世界で使われる携帯電話契約回線が60億件を超え、世界の人口の86%が携帯で受信可能となった現在、データ送受信量の勢いは衰えを知らない。支えるインフラとして増え続けるサーバーと、DCのコストのことは先送りできない問題。ビジネスに対するインパクトに応じて、自社で抱えなくていいならクラウドに移せるものは移す、とは自然な流れ。

5. Client Server

もはや当たり前すぎてなんだか懐かしさえ感じてしまうこの言葉。しかし向こう5年でクライアント側はもっと多様なデバイス類とその上で動く多様なOSやアプリに、サーバー側はブレードサーバーを軸に用途別にバリエーションが増えていく。

6. The Internet of Things (IoT)

“Things”は「なんでもかんでも」の意味。向こう5年でGoogleメガネ、ウェアラブル、*Siriで自動車のエンジン始動という007ライクなのものまで、コンセプトレベルだったものが実用化へ向けて動き出す。いよいよIPv6も陽の目を見る時がきた!?

http://www.viper.com/smartstart/

7. Appliance madness

アプライアンス製品にも新たな風が。パフォーマンスの良さをコスパで謳ったておいて、実は維持管理にコストがかかるようじゃダメとのガートナーの弁。そういう意味ではランニングでコストのかかるハードのアプライアンスより、Virtual Applianceがもっと主流になってくる。

8. Complexity

オラクルのDBを立ち上げるのに1600箇所もパラメータをいじくる場所があったり、シスコのネットワーク製品を使うのに2300ページものマニュアルがあったりと(ウチも人のこと言えないが・・)、製品の複雑さは増すばかり。ガートナーの調査によると、実に大半のエンタープライズ(おそらくUS Onlyの調査)が20%程度しか製品の機能を使ってない。そういう意味ではこの複雑さを取り除いてあげないとIT投資が本当に会社を強くしているとは言えない。

9. Evolution toward virtual datacenter

いわゆるDatacenter Fabricに関する議論。サーバーの仮想化が増えることはあっても減ることはない現状で、いかにそれを支えるインフラがnon-virtualと同等かそれ以上のパフォーマンスを担保してあげられるか。サーバー自身のアーキテクチャーしかり、DCネットワークもファブリック形態が主流に。

10. IT demand

PUE, DCiEといったIT製品の環境性能は今後もシビアに求められるし、このエリアはわりとざっくりとしかモニターできなかったりするので、本当はどれだけ電源効率あがったの?に対して細かく見れる基準やモニターする機能ができたりすると喜んでもらえそう。

 

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