Apple VS Tesla 自動車業界の新局面

Appleがついに電気自動車開発への参入するようだ。これまでもソフトウェアCarPlayで部分的に参入していたが、メルセデス・ベンツのR&DのExecを引き抜き、自動車に搭載するソフトウェアエンジニアをさかんに募集している。もちろんTeslaも黙ってはいない。なんとそのAppleから人材を引き抜き、そのバトルはシリコンバレーでもヒートアップ中だ。

商用電気自動車メーカーとしてトップブランドを確立したテスラに対し、ハードウェアメーカーながら秀でたUXを製品とそのエコシステムに持ち込んで業界を変革してしまうアップル。いよいよ自動車業界に乗り込んでくるとなると、これからの動向から目が離せません。

なぜTeslaは他の自動車メーカーではなく、Appleから人をとり続けるのか?なぜAppleはトヨタではなくメルセデス・ベンツから人をとったのか?2社に共通しているのは、車はすでに高度なソフトウェアを搭載する製品という感覚。勝負は外観のエモーショナルな部分と、そこに搭載するソフトウェアのUXとそのエコシステムだというのがわかっていることでしょう。TeslaのApple化と、Appleの車のメルセデス化、この両者の進化の行く末にあるものは?

詳しくはTech On the Rise Youtube チャンネルにて。

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「プロダクト」を通して世界を見る、プロダクトマネージャーという仕事

“London Eye”
もうすぐ日本で公開される映画007 スカイフォール。
予算の関係で海外ロケが減り、ロンドンのシーン多しとの話も。

今回から数回にわたって、日本ではあまりメジャーではないプロダクトマネージャーと呼ばれる仕事について書いてみたい。聞いたことはあっても実際どうなの?という声にお答えしようと思う。

技術系ガジェットからキッチン雑貨に至るまで、自分は「プロダクト」を見て触って使ってみたりしないと気が済まない性分である。中でも「プロ仕様」という言葉を聞くと無性にワクワクする。例えば007で使われる細工の効いた小物とかボンドカーには、いつもストーリとは別に見てて期待してしまうのだ。そこには、至高のプロダクトを扱うことが許され、卓越した技を極めたもののみが扱えるという、何か憧れを感じるのが背景にある。使い手のテンションを高め、作り手のビジョンと共鳴するとき、きっとそのプロダクトが最も価値を出すのに成功した瞬間なのだろう。

先日1周忌を迎えたスティーブ・ジョブズは、まさにその瞬間を作るのが抜群に上手だった。シリコンバレーでは単にアップルのCEOというだけではなく、この地のプロダクトマネジメントの究極の体現者として伝説の存在となっている。新しいバージョンのiphone/ipadを初めて手にするたびに人々が驚き、夢中になった表情を見ればもはや言葉を尽くす必要もない。

ここで思い出して欲しい。以前このブログでも取り上げた「シリコンバレーで働きたいと考えるあなたに、見ておいて欲しい1枚の絵。」の記事だ。そこで下記のような絵を載せた。この、左下アップルの絵に着目。

ジョブズが真ん中にいて、全てが彼中心に周っているかのようなこの図。それこそLondon EyeのようなHub and Spoke が描かれている。実はこのモデルこそプロダクトマネジメントの究極の姿ともいえる。

なぜか?下の図*1を見ていただきたい。

先日UC BerkeleyでMBAプログラムを展開する、Haas Business School主催のプロダクトマネージャー向けトレーニングに参加した際語られていた一コマ。プロダクトマネージャーは会社のすべての機能部隊とつながり、プロダクトの発案から開発・テスト、価格付け、販売からサポートまで全てのフェーズで意見を求められ、そこでの決断が製品の運命を決めてしまう。一緒に働いてくれる各部門の人々に、「この人が作ろうとするプロダクトは面白い。一緒にやってもいい。」と常々思わせるようでないと、リリースまでおぼつかない。途中で「これはダメだ・・」と思われた瞬間に、もはやそのプロダクトの魅力は半分以下になる。また、方向性をめぐってケンカのような議論になることもある。ただ、このハブとスポークの緊張関係こそ、プロダクトマネージャーの大変さであり醍醐味とも言える。

従ってシリコンバレーから生み出される製品はプロダクトマネージャー達の血と汗と涙の結晶なのだ。

通常は製品群ごとに担当PMがつくが、スティーブ・ジョブズは自らの振る舞いがすでにプロダクトマネージャーであり、そこから逆算で組織化してしまった。CEOもしくはCTOとプロダクトマネージャーが兼任することはこの地のスタートアップではよくあることだが、アップルほどの規模でそれを実現してしまうところが彼を究極の存在にせしめた。製品のビジョンを各担当チームにしっかり植えつけ、常に高いレベルで緊張関係をリリースまで保つことは、口で言うほど簡単ではない。

またある程度の規模の組織になるどトップダウンでの製品開発は、時として危険になる。もしトップが「XYZという技術が向こう3-5年で流行りそうだから、うちもそれを取り入れたものをを作らねば」と言い出したとする。結果、XYZを取り込むのが目的となってしまい、本来プロダクトとして果たすべき役割から逸脱しやすくなる。

プロダクトマネージャーはそういった声に耳を傾けても、常に一歩引いて本当に必要なのは何か、考えなければならない。

(続く)

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*1)  UC Berkeley Executive Education, Product Managment programから許可を得て抜粋 プログラム詳細はリンクを参照。 http://executive.berkeley.edu/programs/product-management

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iOS6 Map 問題 – それは王者の驕りか、新たな旅立ちへの序章か

  

「東京駅」を検索してみたら・・

iOS6のアップデート通知が来てたので、自分が使うiphone4sで早速乗り替えてみた。すでにiOS6のマップ問題が取り上げられているのは知っていたが、自分の目でも確かめたくトライ。

すると・・

テストした言葉

iOS 6 Map

Google Map

東京駅

No Results Found

OK

東京ディズニーランド

No Results Found

OK

Tokyo DisneyLand

No Results Found

OK

富士山

愛知県の見知らぬ土地
にヒット

OK

Mt Fuji

Fuji Sushi Japanese Cuisine

OK

Walt Disney World

OK

OK

なんなんだこれは・・と絶句してしまうような仕上がり。こういうのをデグレ(degradation)と呼ぶのでは・・。現在使用しているiPhone4sはキャリアとしてAT&Tを使っている。挙動的にその国のマップはその国のキャリア経由でないと、まともな結果はでてこないということなのか?USで日本の地名を検索するんなんてユースケース自体が間違っている、とでもいいたげなこの結果。Google Mapがフツーに動く以上、そのような言い訳はなんの説得力もありません。

シリコンバレーでは製品をリリースするときに、その製品(ソフトウェアを含む)の仕上がりについて、”Product Finish”という言葉をよく使う。日本語では「完成度」にあたると思う。その言葉には2つの意味があり、何を持って”Finish”とするのか、何を持たないことをユーザーに理解してもらった上で”Finish”とするか、という観点である。今回のマップは正直その2点がかなり不透明。

例えば完成には程遠いものを、マーケットで先行するためにリリースしないと行けない時、よくPhase Approachという手段で機能を段階リリースしていくということはよくやる。マップに関しても、最初は北米だけとか、もっと絞って主要都市だけとか区切ってやるというアプローチもあったはず。(思い出して欲しいGoogle Mapの出始めだってそうだし、Street Viewもそう。MSの3D Map viewだって、シアトル始め北米の数都市から開始した。)

米系メーカーとしてはめずらしくProduct Finishのレベルが高いということで、個人的にはアップルという会社が創りだしてく製品は好きだし、憧憬すら抱いている。当然Phase Approachだって検討されていたはず。

それだけに、今回のマップの件はかなり衝撃だった。株価700ドル前後、フリーキャッシュが2兆円以上ある会社が作る製品としてはあまりにお粗末すぎる。

そしてApple本社の採用情報を見てると、まるで慌ててGoogle Map経験者を採用しているかのようにも見えるんだが・・

http://www.apple.com/jobs/us/startsearch.html

今回の件が決して、「ユーザーはそれでもついてくる」という「王者の驕り」から出たのではなく、新しいレベルのUser Experienceへ向けての序章なので、ちゃんと次のバージョンで改修するよ、という「前フリ」であることを願うばかりだ。今のところGoogleへ何の打診もしていないところを見ると、後者だと信じたい。でないと、名門アップルにおけるプロダクトマネジメントの喪失となりかねない。

Google: No iPhone 5 Map App Yet
http://www.lightreading.com/document.asp?doc_id=225250

ということで、当面はSafariでGoogleMapを全画面表示するワークアラウンドで対応だな・・

http://www.lifehacker.jp/2012/09/120926googlemap.html

やり遂げるべき時、見切りをつけるべき時

先日までラスベガスに滞在していた。ギャンブル目的ではなく、Interop 2012という世界のIT業界の中でもトップ3に入る巨大な展示会だ。開催4日間ののべ訪問者数は例年2-3万に達する。そこにJuniperも出展、さらにはQfabricのLive Demoをするということで、その部分自分が担当することになっていた。

プロである以上、そのアウトプットにはこだわって当然だ。しかし、状況によっては途中で見切りを付けないといけない時もあるし、逆にどんなに厳しくてもやり遂げなければならない時がある。その、後者にあたる状況に今回ラスベガスで自分は身を置くことになった。ちょっとしたドラマな体験だったので、本日は日記風に。

ベガスへ搬送する前、自分のオフィスで事前に試した時は当然うまくいっていた。社内でのPreshowデモもうまくいき、意気揚々と現地入り。ブースでセットアップを始めた。すると、アメリカという場所柄、いろいろなものが足りなかったり、短かかったりと問題が現れ始める。事前に梱包をお願いした人の詰めが甘く、いろいろ期待してたものが入ってない。

まーでもUSなんてそんなもんで、全てが期待通りに行くなどという幻想は最初から持たないほうがいい。むしろ直面する課題にたいして、いちいちがっかりせずに、どれだけ機敏に次の策を考えだして速攻で打てるかが重要となる。もしくは事前に自己防衛する手段を確保しておくか。(結局自分がハンドキャリーしていったものが活躍し、大きな問題とはならず。)

左のラックが自分の担当

その後デモで動かすネットワークやアプリ周りをたちあげていく。ところが、ここでも “If it can happen, it will happen.” まさにマーフィーの法則・・ ということで、途中で躓いてしまう。(ちなみにQfabric自身が問題を起こしたわけではないので誤解のないよう。結論から言えば、そこにつながってるHypervisorの方でした)

ここからが戦いだった。1時間・2時間と時間が過ぎていく。気がつけば時計は23時を周り、明日から始まる本番が刻一刻と迫ってくる。(朝にはうちの上層部が下見に訪れて、自分がデモを仕切り、なおかつビデオ録画まですることになっていた。)共にセットアップを手伝ってくれている同僚にも疲れが見え始め、ネガティブな発言が出始める。

見切りをつけるのか、やり遂げるのか

昨年Qfabricをリリースして以来、初めて公衆の面前でLiveで動かすということをBUで決め、内からも、外からもその期待は非常に大きい。おそらくこれだけモノを持ち込んどいてデモできませんなどといったら、そのマイナスのインパクトは計り知れない。

ここで、諦めるわけにはいかない。

すると、一旦休憩している時に何気なくチェックしていたRSSに、思わず目が覚める記事が載っていた。

This Inspiring Note Greets Apple’s New Hires on Their First Day

自分はアップル社員ではないが、このAppleが新しく入ってくる社員に配るというレターを読んだ時、鳥肌がたった。以下は特に自分が気に入った一節。

The kind of work that has your fingerprints all over it.
( あなたの指紋がそこかしこに残るような仕事)

The kind of work that you’d never compromise on.
(あなたが決してあきらめなかった仕事)

People don’t come here to play it safe.
(リスクを取らず、そこそこの仕事をするのではない)

They come here to swim in the deep end.
(果てしないその先へ挑むために、ここにやってきた) 

これを読んだ同僚たちもモチベーションが上がる。世界が待っているのに、期待は裏切れない。フレッシュなアイデアが出始め、途中うちのプロダクトマネージャーも合流したりと、最後のスパートをかける。そして午前2時ごろ、ようやく全てが期待通り稼働し始めた。

午前3時ごろ同僚とあげた祝杯は、きっと一生記憶に残るだろう。

そして迎えたInterop2012開幕。Live Qfabricをひと目見ようと数多くの人々が訪れてくれたことは本当に印象深いものだった。

終わってみればだが、こうした追い込まれ状態でブレイクスルーを見出す瞬間は本当に楽しい。もう打つ手がないと自分で決め付けるのか、まだ手はあると自分で決め付けるのか、その差は果てしなく大きい。そんなことをあらためて実感したベガス滞在でした。