Executive Briefingでおさえるべき5つのポイント

今週はボストン郊外のWestfordに来ている。ここでQFabricサイド代表ということでEBCに参加する必要があったためだ。
EBCとは”Executive Briefing Center”の略で、ここで顧客サイドのDecision Maker, Influencerを呼んでダイレクトに対話を持つ場である。内容は新製品の紹介だったり、デモだったり、ポストセールス系だったり、製品開発チームとグローバルな顧客が直接顔を合わせることができる貴重な機会なのだ。相手はエライ系の肩書きを持つ人々が来るのでかなり真剣勝負。ここでコケればビジネスを失うし、きちんと相手の心をつかめば逆にチャンスは広がる。ということでこのEBCという機会は自分の能力が試される良い機会でもある。

これまでEBCを行ってきたなかでいつも大切にしているポイントがあり、これまでのところ効果ありなので書いてみたい。

1.  「製品だけ」を語らない
いきなり逆説的だが、単に製品そのものをアピールするだけでは、おおむね自分の伝わって欲しいという分量の半分くらいしか相手は受け取ってくれない。特にスタートアップ系の製品やQFabricのように新しいコンセプトの商品の場合、それを語ることがついつい楽しくなってしまって、話し手がその自慢ばかりをしたがる。(はい。自分がそうでした・・)

でもそれではダメ。メッセージがベンダーサイドから一方的なのだ。顧客はそれぞれに悩みを抱えている。そしてその悩みが当該の製品を使うことでどう解決されていくのか、その際の経済性はいかなるものかが気になっているのだ。なので自分はいつも担当営業チームに顧客の悩みがどこにあるのかを事前に聞くし、当日も相手に直接聞く。その悩みのレベルは単に「情報集め」という浅いものから、「近々で解決しないと・・」という切実なものまでさまざま。でもそれを知ってるのと知らないとで話を進めるのでは、メッセージの受け入れ具合にかなり差がでる。

2. 得られる「体験」を語る
これは消費者向けの製品やサービスに対してよく言われることでもあるが、実は法人向けにだって当てはまると思う。その製品を使うことで普段の顧客のビジネス、オペレーションのどこが、どう変わって、「悩み」が解決されるのか、この辺が具体的であればあるほどいい。もちろん数字を使って話せればなおよし。そのためには顧客サイドの「現場」がどういうことをしているのか、よく聞いてみること。

3. 相手の「行動」を良く見る
特にDecision makerの場合、そのEBCだけでディールが決まる可能性もあるのでついついアグレッシブにいってしまうケースがある。しかしたいていこれは逆効果。むしろ、相手がどのような購買スタイルなのかをよく見極めること。例えば自分が以前通ったStanford大のクラスでは、意思決定を左右する要素としてリスクをどう見るか、ということについて分析手法を教えてくれる(これについてはまた別途) 一言で言えば リスクに対して3種類の態度に大別できる。

Risk Averse (慎重),
Risk Neutral (大きいリスクはとらないけど、かといって、リスクをとらないわけでもない)
Risk Tolerant (ギャンブルしてもいい)

の3つ。

話の中で相手がどの系統なのか見極めること。そうすればおのずと自分が語るべきメッセージの「トーン」が調整できるはず。
「これを言ったら相手は引くな」とか、逆に「これを言ったら相手はノってくるかもな」とか。

4. Stay calm (落ち着いて)

相手が自分よりも立場が上だったり、なんかあんまり反応が薄かったり、はたしてちゃんと自分の言ってることは伝わってるんだろうかとだんだん心配になってくることもあると思う。でも、えてしてそれは考えすぎで、上記1・2・3がしっかりできていれば大丈夫。むしろあせらず落ち着いて語っていくこと。

5. Small Talkを大事にする
日本でもそうだが、USでも会議の合間や休憩時間に雑談(small talk)がはさまる。EBCの場で交わされる雑談はおおむね以下5つ。

業界の話
前日のスポーツ(NBA, MLB, NFL, NHL)の話
新商品(ipad3みたいな)の話
相手が住んでいるエリア、およびそれに付随するローカルネタ(目玉スポット、リゾート等)
家族の話

無論わからないものはわからないので、話できるところだけ絡めばいいと思うが、逆に家族ネタになったときはきちんと話すこと。
というか、おおいに自慢していいです。そこで相手の子どもと同年代とわかればしめたもの。子育ての経験を共有でき、リレーションを築くのにかなり効きます。

ソーシャルがリアルビジネスと融合するということ

先日の投稿が、多くの人々のシェアにシェアが重なって今や1万ビューを越えていた。改めてソーシャルのダイナミックさとスピードに驚いたな~。企業の中にはこうしたソーシャルの力を現場に持ってこようとしているところも結構ある。それはよくあるマーケティングのツールとしてではなく、差別化の道具として使っているという意味で。先日チームの同僚がKLM航空(SFO-AMS) を使ったときの話を聞いてこれは面白いと思った。

そのサービスとは、KLM Meet & Seat

このMeet&Seat、座席の予約をするときになんとFacebookやLinkedInのアカウントと連動させることができるのだ。例えば自分が座る席の近くに、共通の趣味を持った人や同業者、おもしろそうな仕事をしている人等がいれば、となりに座を選択することができる。(もちろんとなりが開いてれば)

路線としてはアムステルダム~ニューヨーク・サンフランシスコ・サンパウロということで、長距離路線ONLY。残念ながら日本路線は今のところありません。長い時間のフライトとなると機内の過ごし方ひとつで疲れ方とか、満足度が大きく変わってくる。その点興味ある人と話せるのであれば、これは飛行機での移動がむしろ大きな楽しみになる。人によってはそこから大きなビジネスチャンスを生み出す人もいるだろうし、新しいネットワークが広がりそう。

もちろんこれはオプションのサービスであり、乗る人が必ずやるものでもない。あくまで興味がある人だけなので、搭乗する人々が面白いと思って1機あたりの利用総数、頻度が増えてこないと、最終的に「いかに空席率を減らすか」というエアラインの命題に対する答えとはならない。チェックイン前48時間前までに絞るんじゃなくて、乗ってからでもできるようにすればいいのにと思う。

最近のエアラインは機内でもワイヤレスが使える一方、座席でヒマをもてあます人もやっぱりいる。スマートフォン等でSNSにログインして、GPSから同じ飛行機に乗っていることがわかるので、そこで便名とチャットOKみたいなステータスが出せれば、その人とコネクト開始、みたいなことがあるとおもしろいと勝手に考えてしまった。(FBではアクティブユーザーが8億人もいるわけだから、ちょっとやってみようかなと思う人もいるはず。)

エアラインビジネスはそれこそユーザーが飛行機の検索するところから始まって、目的地で荷物を受け取るまで一連の機能が連動していないといけないし、満足度はその連動の結果となる。一方、機体が空港に留まってる時間を最小にして、1機あたりお客さんを乗せて飛んでる時間を長くしたほうが良い。「乗せてない時間」のハード的な部分の差別化もそうだけど、「乗せてる時間」のソフト的な差別化にSNSが使われた始めたのは、サービスで提供する「体験」というのが、単にプロバイダーからカスタマーへの一方通行なのではなくて、「カスタマー間でも」という仕組みへ広がっていく発端なんだな。