「プロダクト」を通して世界を見る、プロダクトマネージャーという仕事

“London Eye”
もうすぐ日本で公開される映画007 スカイフォール。
予算の関係で海外ロケが減り、ロンドンのシーン多しとの話も。

今回から数回にわたって、日本ではあまりメジャーではないプロダクトマネージャーと呼ばれる仕事について書いてみたい。聞いたことはあっても実際どうなの?という声にお答えしようと思う。

技術系ガジェットからキッチン雑貨に至るまで、自分は「プロダクト」を見て触って使ってみたりしないと気が済まない性分である。中でも「プロ仕様」という言葉を聞くと無性にワクワクする。例えば007で使われる細工の効いた小物とかボンドカーには、いつもストーリとは別に見てて期待してしまうのだ。そこには、至高のプロダクトを扱うことが許され、卓越した技を極めたもののみが扱えるという、何か憧れを感じるのが背景にある。使い手のテンションを高め、作り手のビジョンと共鳴するとき、きっとそのプロダクトが最も価値を出すのに成功した瞬間なのだろう。

先日1周忌を迎えたスティーブ・ジョブズは、まさにその瞬間を作るのが抜群に上手だった。シリコンバレーでは単にアップルのCEOというだけではなく、この地のプロダクトマネジメントの究極の体現者として伝説の存在となっている。新しいバージョンのiphone/ipadを初めて手にするたびに人々が驚き、夢中になった表情を見ればもはや言葉を尽くす必要もない。

ここで思い出して欲しい。以前このブログでも取り上げた「シリコンバレーで働きたいと考えるあなたに、見ておいて欲しい1枚の絵。」の記事だ。そこで下記のような絵を載せた。この、左下アップルの絵に着目。

ジョブズが真ん中にいて、全てが彼中心に周っているかのようなこの図。それこそLondon EyeのようなHub and Spoke が描かれている。実はこのモデルこそプロダクトマネジメントの究極の姿ともいえる。

なぜか?下の図*1を見ていただきたい。

先日UC BerkeleyでMBAプログラムを展開する、Haas Business School主催のプロダクトマネージャー向けトレーニングに参加した際語られていた一コマ。プロダクトマネージャーは会社のすべての機能部隊とつながり、プロダクトの発案から開発・テスト、価格付け、販売からサポートまで全てのフェーズで意見を求められ、そこでの決断が製品の運命を決めてしまう。一緒に働いてくれる各部門の人々に、「この人が作ろうとするプロダクトは面白い。一緒にやってもいい。」と常々思わせるようでないと、リリースまでおぼつかない。途中で「これはダメだ・・」と思われた瞬間に、もはやそのプロダクトの魅力は半分以下になる。また、方向性をめぐってケンカのような議論になることもある。ただ、このハブとスポークの緊張関係こそ、プロダクトマネージャーの大変さであり醍醐味とも言える。

従ってシリコンバレーから生み出される製品はプロダクトマネージャー達の血と汗と涙の結晶なのだ。

通常は製品群ごとに担当PMがつくが、スティーブ・ジョブズは自らの振る舞いがすでにプロダクトマネージャーであり、そこから逆算で組織化してしまった。CEOもしくはCTOとプロダクトマネージャーが兼任することはこの地のスタートアップではよくあることだが、アップルほどの規模でそれを実現してしまうところが彼を究極の存在にせしめた。製品のビジョンを各担当チームにしっかり植えつけ、常に高いレベルで緊張関係をリリースまで保つことは、口で言うほど簡単ではない。

またある程度の規模の組織になるどトップダウンでの製品開発は、時として危険になる。もしトップが「XYZという技術が向こう3-5年で流行りそうだから、うちもそれを取り入れたものをを作らねば」と言い出したとする。結果、XYZを取り込むのが目的となってしまい、本来プロダクトとして果たすべき役割から逸脱しやすくなる。

プロダクトマネージャーはそういった声に耳を傾けても、常に一歩引いて本当に必要なのは何か、考えなければならない。

(続く)

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*1)  UC Berkeley Executive Education, Product Managment programから許可を得て抜粋 プログラム詳細はリンクを参照。 http://executive.berkeley.edu/programs/product-management

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Interview記事がアップされました

久々に更新。投稿がご無沙汰になってしまい、すみませんです。

復帰第1弾の記事ということでのご案内。このブログの読者の方から、自分の仕事やキャリア観について先日インタビューを受け、その様子が掲載されました。

http://sheepsleap.info/interviews/002/

ご興味のある方は読んでみてください。

文系エンジニアがシリコンバレーに来るには?

プロフィールにあるように自分は決して理系を卒業したわけでもなく、これといってコードが書けるわけでもない。そんなことを話すと、「文系エンジニアなのにどうやってシリコンバレーにこれたんですか?」との質問を受けるときがある。ふと自分の行動を思い起こしてみると5つぐらいポイントがあった。

1. 特定の分野でまずは1番になる。
2. 名前とキャラをキーマンに覚えてもらう。
3. 安心感
4. 常に視線を世界の標準に置く。
5. 情熱

これらのポイントについて解説してみます。

1. シリコンバレー始め、外資は “Who are you?” という質問に対してシビアに答えを求められる。
あなたは何屋で、何をしてくれるのか?どうしてあなたでなければいけないのか?Nativeな技術のわかるエンジニアは他にもいるのに、なぜNon-nativieな人を雇わなければいけないのか?

この辺に対して自分でスッと定義できて、明確な違いを打ち出せないと門前払い。
自分にとって、これからマーケットを作り出すようなスタートアップに入ったのは、ここで一定の結果が出せればそのまま”who are you?”に対する明確な回答を複数得られると考えたからだった。結果を出すためには誰よりもマーケットを理解し、まだ誰も知らない技術を深く理解しないといけない。
つまりスタートアップは狭い世界で1番になれるポテンシャルを秘めている。

2. どんなに働いても、それが見て欲しい人(一言で言えばHiring Managerになるような人、キーマンとなる人)が見ていなければ次につながっていかない。

3. その仕事は他の誰がやったとしても、自分のほうが優れているといえますか?エンジニアを名乗る以上は、時として徹底して細部を詰める必要がある。そこをゆるくしてしまうとこの程度か、と思われてしまう。それでは他のエンジニアとの差別化にはならない。
常にhigh quality & 高速アウトプットを心がければ(やるのはしんどいが)、こいつは任せればいい仕事してくれるという「安心感」につながる。

4. あなたの目指すレベルはどこにありますか?技術の流れを読み、自分の持っているものが常にフレッシュかどうか、そしてそれが世界を相手にしたときに恥ずかしくないというレベルだといえるのか?定期的にチェックしてください。学ぶのを惜しめばエンジニアとして負けです。

5. 時間がない、できるかどうかわからない、そういう言い訳をして手を引く人たちはたくさんいる。だが、そこにチャレンジして、誰もができなかったことをやってのけることこそ、本当のプロフェッショナルだと思う。だから自分は時間がある限りは最後の1秒まであきらめないし、可能性が少しでもあるならそこに賭けている。もちろんいつもうまくいくとは限らないけど、その蓄積は確実に次への土台となる。どんなに実力があっても気持ちで負けてたら絶対に勝負となる場面で勝てないんじゃないかな。こうしたエネルギーは、そのテクノロジーに対する情熱に比例するんだと思う。自分が心から面白いと思える技術であればあるほど良い。

(おおっと、そういえば英語に関して全くここでは触れてないけど、英語をブラッシュアップするのは前提の前提。)

上記ポイントに対してや、自分がやっていた英語の鍛え方についての詳しいことはまたの機会に。