感情が形に!LegoXに見るTechnologyと感性の融合

誰もが親しんだLego。その遊びがテクノロジーと結びつくことで、夢に見ていたことが現実になってきた。子どものころ、自分で思いのままに作ったレゴが自分にとって傑作だ!と思えたとき、崩すのはしのびなかったことはないだろうか?時代はそんな思いに終止符を打つ。いよいよ作ったレゴが3Dプリンティングできる時代が来た。

続きは下記Tech On the Rise YouTubeにて。
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Deep Connected – “ウェアラブル”を飲み込むその次のキーワード?

前回の記事でGoogle Glassのことを取り上げた。サムソンがSmart Watchをリリースし2014年はウェアラブル元年になる、という声も聞こえる。しかし、本当に問いたいのはウェアラブルなデバイスがユーザーにとってのどんな問題や、「困った」を解決するのか?提供したいExperienceはユーザーが本当に共感できるものなのかということ。その焦点がぼやけたプロダクトは打ち上げ花火のように一瞬で消えていくだろう。

一方で少し目線を先に向けると”ポスト・ウェアラブル”がすでに見え隠れする。まずは下の動画を見てほしい。

 

MITメディアラボで研究されているこの”Dynamic Shape Display”と呼ばれるこのシロモノ。手の動きに連動して遠隔地にある直方体の柱が生きているかのように動き出す。気持ち悪い?それともいよいよ「画面越し」の時代が終わる時が来た? その評価はもう少し先になりそうだ。今はまだ積み木のような直方体だが、この「ピクセル」がもっと繊細になった時、一つ一つの直方体にセンサーが仕込まれ、硬い、冷たい、といった擬似感覚を再生できるようになった時、さらに先のウェアラブルなデバイスなんかと交わってくると、「遠くて近い」がもっとリアルなものになるのだろう。

写真・文字・動画の共有によるSNS全盛の時代は、自分達の生活や仕事に深く影響し始めた。そして、今後は「肌感覚」をも共有するDeep Connectedな世界へと向かうのか、ちょっと注目して見ておくのもおもしろい。

 

10年目のCCIEであること、そして型を破ること

サッカーで発電という型破りな発想
ボールで15分遊べばLED3時間分の充電 (http://soccket.org/)

先日EBCでジュニパー本社にお越しいただいたお客さんと会食する機会があった。その時に、「曽根原さんって理系出身なんですか?」と聞かれた。いえ、「自分はそもそも文系出身で・・」 その時の相手の反応はウソだろ?みたいな感じだった。

自分は本当にド文系でまともにテクノロジーのこと勉強し始めたのはCiscoに入ってから。今から考えれば入社当時IPアドレスとかTCPとか言われても大してわかってなかった。(エンジニアとして恥ずかしいくらいに。)そんなところから始まって、入社3年目にCCIE(R&S)という資格をとるに至る。筆記試験とは別に行う実技試験を5回も受ける羽目になり、さすがにきつかった(特に精神面で)のはよく覚えている。

あれから10年。先日5度目の更新を果たして、気がつけばCCIE 10年ホルダーになっていた。

ド素人から始まってここまで来たことは一つの到達点だし、うれしいことは事実。しかし同時になにか違和感を感じていた。テストに合格した直後はそんな違和感を細かく噛み砕ける心理状況になかった(とにかく無事終わってホッとした)が、落ち着いた今になって考えるとその違和感の正体が見えてきた。それは、

CCIEにこだわると「自分が型にハマる」ということだ。

CCIEで問われることは当然多岐にわたり、その深さも同時に要求される。そこで学んだ技術は、ユーザーが「今日この日この時」に抱えている問題を解決するのには十分役に立つ。直近で顧客が抱える問題をエレガントなネットワークデザインで解決できた時ほど、エンジニア冥利につきることはない。

しかし入社3年で現場のSEをしていた若造が10年後プロダクトマネージャーとなって、当然ながら日々考えることは全く変わってしまった。一番大きいのは時間軸だと思う。例えば「このカスタマーが5, 10年後、彼らの描くゴールやビジョンを実現するためにネットワークインフラはどうあったほうがいいのか?」、「今のペースでトラフィック容量やユーザーベースが拡大したとき、ネットワークが顧客にとってのビジネス上の足かせになりはしないか?逆にどうすれば「足かせ」から、「加速エンジン」にできるか?」

こうした問いに対し、CCIEで学んだ中に答えはない。テストではあくまで今既にあるテクノロジーについて問われるだけだからだ。(誤解しないでいただきたいが、CCIEを否定しているつもりは全くない。あくまでキャリアのステージの中において意味合いが変わってきているということを本稿では言いたい。)
「型破り」とは、単にブッ飛んだアイデアのことを示すのではない。「型」を理解しているから「破る」ことができるのであって、「型」も知らないのに破ることなんかできるわけがない。CCIEは自分にとってネットワーク技術の世界における「型」を自分に教えてくれた。それ自体ものすごく価値のあることだったが、自分の感じた違和感は、この「型」をいかに破っていくかに気持ちがシフトしていたから感じていたのだと思う。

CCIEに限らず、CPAやMBA、果ては医者の世界に至るまで「資格」はその道のプロとしての「型」や「作法、ルール」を学ぶことができる。プログラミングや何かを「極める」というのも基本的には同じ。しかしそこで満足してしまえば所詮「型にハマったプロ」で終わってしまう。もちろん、それで十分という人もいるだろう。実際それで十分なのかもしれない。ここから先は「プロとしてどう生きるか?」の問いに自分で答えを創っていく世界。それをするかしないかは、自分自身の選択。ただシリコンバレーに生きる「型破り」なエンジニア達を見ると、「型にハマったままでいる」ことが今後リスクになりそうな気がしてならない。

IPOはイノベーションを阻害してしまう・・・のか?

LightBulb

刺激的なテクノロジーを見た時は「おぉぉぉ!これすごっ」という驚きがある。最近知ったLeap Motionなんかまさにその類のものだ。

他にもサンフランシスコのEV車スタートアップ Lit Motors (http://litmotors.com/) なんかも面白そう。

横からガツーンと当たられてもバイクとは違って倒れない!

先月シリコンバレーではStanford大の*Shai Bernstein氏による論文が物議を醸しだした。論文のタイトルは”Does Going Public Affect Innovation? (IPOはイノベーションを阻害するのか?)”というもの。Leap Motionのような、とがった製品とテクノロジーを持つ会社が今後IPOしたとすればそれはそれですばらしいことだし、はたから見ている側としては次のエキサイティングなプロダクトを見てみたいと期待してしまう。しかしShai氏はIPOすることによって、莫大な資金を得た会社がこれまで以上にInnovativeになるどころか、逆にそうでなくなってしまうのではと問いかけている。

このシリコンバレー企業の自己否定とも取られかねないShai氏の論文は読んでみるととても興味深い。事実自分がスタートアップの会社から、買収された会社に移った経験と照らしあわせてみても、確かにそうだなと思えるところがある。以下3つポイントを挙げてみた。

1. 市場からのプレッシャー

IPO前と後で全く変わること、 それは公開企業となることによって常に4半期の数字に追われ、また成長を求められる。会社はマーケットに対して4半期およびその年のパフォーマンスの予測を公開を要求し、下方修正しようものならきっちり説明しないとその株は売り浴びせられる。IPO前まではその会社のコア・テクノロジーを開発し研ぎ澄ます、ピュアなイノベーションに集中できるが、公開した瞬間から「次の4半期の数字を達成するために必要なこと」というのが急に会社としてのプライオリティーになってくる。よって長期的なイノベーションで差別化を・・と考えていてもそうしたプロジェクトを続けることは難しくなるケースが多い。(よほど内部留保が潤沢でない限り)

2. イノベーションを買うようになる

IPOするとき、その会社のテクノロジーは「ピーク」にある時となる。IPO後もイノベーションの「質」を確保し、4半期の数字を達成しつつ、ピークから落ちたとマーケットから思われないためには、イノベーションを「買う」というのが手っ取り早い。一方、ビジネスの成長スピードが早すぎるのも問題。要求に答えられるだけの人員も揃っておらず、組織もIPO前の状態だと、折角のチャンスを逃すことになる。「買う」ことは最短のイノベーションだが、それを受け止める土台なくして買う意味はない。IPOするまでのトップは刺激的なビジョンと社員を束ねるカリスマ性やリーダシップが特に求められる。IPO後はビジネスの成長と組織の成熟をバランスよく舵取りするために、ある程度ビジネスオペレーション経験が豊富なトップが招集されるのはこうした理由がある。

3. High liquidity of professional

シリコンバレーではIPOさせるまでが楽しいと考える人は多い。なのでIPOしたらそれがゴールなのだ。そしてキャッシュが手に入り次第辞めてしまう。たいていは別のスタートアップに行くが、一時リタイヤなど行く先は様々。問題は残された人達。IPO前のCTOが公開後にいなくなってしまうと、次のCTOが来るまでどうテクノロジーを進化させていくか全く不透明になってしまう。上の問題だけではない。えてしてIPO前の会社はノウハウや技術スキルが「属人的」なため、現場であっても「その人」が辞めたら周りがしばらく機能不全になることはよくある話。そんな状態でIPO前と同じレベルのイノベーションは期待できない。

従って、IPOする前の会社と、した後の会社は基本的に別会社になる、と考えたほうがいい。Shai氏が言いたかったことは、IPO前後でイノベーションが阻害されるのではなく、その「質」が変わってしまうということなのだ。IPOできなくても「買われる」ということが起こる以上、スタートアップは常にどこよりも尖っていないといけないから、必死に技術開発する。一方イノベーションを「買う」側は、尖ったテクノロジーを自社に取り込んで、より差別化を狙える。(うまくいくかどうかは別として。)

シリコンバレー企業の生態系は、投資する者、IPOする者、イノベーションを買う者、買われる者、といった要素で成り立っているのだ。この地の企業動向を追うとき、こうした生態系を意識しながらニュースや企業のアナウンスを読むと、トレンドがもっとよく見えてくる。

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*実際の論文に興味のある方はこちら。
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2061441

また、この論文についてShai Bernstein氏へのインタビューもあるので、あわせてどうぞ。
論文の要旨がわかります。
http://www.bizjournals.com/sanjose/news/2013/01/22/ipos-make-companies-less-innovative.html?ana=RSS&page=all