危機にあったスターバックスが復活できたHoward Shultzの手腕

howard

Howard Shultz, CEO of Starbucks Corporation

前回の投稿の続き。ゲストスピーカーで登壇したHoward Shultz氏のスピーチが勉強になったので、今日は彼のスピーチをまとめてみたい。

ハワード氏が1987年にスタバのトップに立ったころ、シアトルスタイルというコーヒーのトレンドを生み出し、当時は業績、店舗数とも順調に増加していた。2005年10月には株式分割を行うにいたる。すると、とたんに株価が2倍以上にあがり、これまで$12ドルくらいの株価が一気に$30ドルを超えるに至った。それほど北米マーケットを席巻し注目をスタバは集めていた。打ち出す施策がことごとく成功、テイクアウトできるプレミアムコーヒー、こじゃれた内装というスタイルで飲食市場をリードし無敵に近い状態だった。ハワード氏はこの時点でCEOから離れ会長として一線から離れた。

しかし、実はここからが転機となる。ハワード氏が振り返るに、

「我々はこの時明らかに自分たちを過信していた。我々がやることは全て正しく、顧客はそれを求めている。我々のブランドは最強だ。スタバのマークを見れば客が吸い寄せられてくる。」と。

以来1店舗あたりの顧客回転数を増やす方向へシフト。店舗数も増えすぎ共食い状態が発生。互いの業績を気にして組織が硬直し始めてしまった。これが仇となりコーヒーの質がみるみる低下。次第に客が離れ利益率が下がり、瞬く間に業績が悪化する。

下のスタバの株価遷移を見てほしい。今でこそ株価を高値で維持し続けているが、2008年にはどん底に陥り、株価なんと9ドル。市場はスタバに失望した。1店舗あたりの利益率が17%を切り、操業不能の当落線である14%が目の前まで来ていたという。

SBUX

ここでボードメンバーはハワードの再招集を決断する。CEOとしての復帰だ。ハワードが戻ってきて最初に感じたのは、そこはハワードの知るスタバでは無くなっていたということだそうだ。

そして彼はなんと、「全米のスタバで、コーヒーの入れ方のトレーニングをさせてくれ」とボードメンバーに進言。頭でも狂ったかと言われたそうだが、彼は、

「今このスタバを立て直すのに、これ以上有効な投資があるなら教えて下さい」

と喝破。そこから全米にある数千の店舗に対し、営業時間を早めに切り上げ、各店舗3.5時間の「特訓」を行った。そのこと記す記事を今でも見ることができる。

Starbucks Shut Down 3.5 Hours for Training – ABC News
http://abcnews.go.com/WN/story?id=4350603&page=1

次に彼が行ったことは全ストアマネージャー( その数1万人!)をシアトルに招集、1週間の全社ミーティングやワークショップを行う。その投資は10億円以上に上ったという。ハワードは全ストアマネージャーに対して第1声こう語りかけた。

“I’m sorry. This is my fault to let Starbucks change from what it should be”

アメリカ人が”I’m sorry.”と謝ることはまずない。しかも自分の誤ちを素直に認めることもない。が、彼はそれをやってのけた。しかもこの時泣いていたという。

次に彼は今の会社がどれだけ危機にあるか、財務状況から顧客満足度、ありとあらゆるデータをストアマネージャー達に公開する。徹底的に透明性を貫いた。そして彼は問うた。

“This is where we are now. It is time for you as store manager to think how we can change Starbucks.”

通常業績が悪ければ、その当事者達は容赦なく切り捨てられるのが外資の常。しかしハワードはそうした恐怖政治をとることはしなかった。そこにあるのはストアマネージャーに対する信頼を示すことと、彼らが正しい判断をするために必要な、情報の徹底的な公開である。

その結果スタバは単なるコーヒー売るという枠を超えて、店舗がよって立つ地域コミュニティーのハブになる存在を目指し始める。地域ボランティアワークや、天災に見舞われた地域への支援、学校イベントとの連携等々。

当時深刻なリーマン・ショックのさなかで職を失った多くの人を助けるという思いのもと、”Create Jobs USA”という活動を開始したのもこの時だ。(http://www.createjobsforusa.org/

こうして築かれていった信頼は強固なものとなり、フェイスブック上ではこれまでに3300万人以上のファンを獲得。悪夢のような業績からみごとに復活したのであった。

次回はこのスピーチを通して訴えたかったことを自分なりに解釈してみたい。ハワード氏のストーリーは業績低迷に沈む日本企業にも何かを気づかせてくれるきっかけになるはず。

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