進化論2.0

Ballet San Joseで活躍する純奈さん

強いことは生き残ることと必ずしもイコールではない。必要条件であったとしても、生き残るための十分条件ではない。それはここ最近のシャープの没落、サムソンの敗訴を見ててもつとに感じる。もちろんいかにして「強く」なるかということも大事なのだが、同時に「強い」ことを成り立たせる前提条件は、実は自分が想像する以上に早いスピードで変わっていることも忘れてはいけない。そして気づくのが遅れると取り返しの付かない痛みを伴う。

“It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is the most adaptable to change.”

およそ140年前、ダーウィンが「種の起源」で伝えたことは今なお普遍の真理なのだろう。

先日娘がバレエを習っているのが縁で、サンノゼバレーでプロフェッショナルダンサーとして活躍する純奈さんに話を伺うことができた。http://www.balletsj.org/company/ige.html

彼女の話を聞いて、これは進化論2.0だとでもいいたくなるくらいの衝動にかられ、ブログにすることに決めた。

純菜さんは5歳からバレーを始めた。最初は横浜にあるバレエ教室に通い、そこでの恩師との出会いが彼女の運命を後押する。彼女はとてもストイックだ。ここにそれを表すエピソードがある。朝早くに学校に行き、放課後はバレエ教室に毎日通った。リサイタルが近づこうものなら夜11時くらいまで練習するのはザラ。これが中高の5年間続いた。従って家族とまともに顔をあわせるのは週末だけ。父親と顔をあわせれば第一声は「ひさしぶり」という有様だ。とにかくバレエを踊るのが好きでたまらない、幼い頃から国立劇場でプロフェッショナルバレー団の中で、子役としても活躍してきた。
こうした生活が当たり前だった彼女は、勉強を含めて労を惜しまなかった。

そしてゆるぎない信念を基に築きあげた強さは、高校3年生の時にドイツ・バレエ学校への留学の道を切り開く。

ここでなぜドイツ?と思う方もいるだろうから補足。ドイツは欧州一の経済力を背景に芸術文化への投資を惜しまない。バレエはPerforming Artと呼ばれ、れっきとした国からの補助対象なのだ。よってその施設は非常に充実しており、バレエの本場欧州への足がかりとしては申し分ないステップといえた。

留学先のハンブルグではまるで天国のように感じたという。なぜなら日本では学校とバレエを両立せざるを得なかったが、そこでは1日の全てがバレエ中心にスケジュールされていたからだ。無論語学や芸術といった学術分野もあるものの、自分が望んだことを高いレベルで鍛錬する日々にこれ以上ない充実感を感じていた。

そして18歳の時最大の試練が訪れた。プロフェッショナルダンサーとしてのデビューである。

基本的にバレエダンサーはダンスカンパニーという会社に入社し、ダンサーとして働いて給料をもらう。カンパニーによっては労働組合もあるし、健康保険のサポート等福利厚生だってある。従って、いかにこの「カンパニー」に「就職」するかが勝負なのだ。

これまでストイックに自分を高めてきた純奈さんだが、ここで厳しい現実と向き合うことになる。欧米のダンサーは背が高く、体躯も大柄。日本人ダンサーがこうした中で並ぶとカンパニー的には「浮いて」見えてしまうのだ。ダンサーとして小柄な純奈さんは、技量とは別次元の戦いに苦戦した。

受けて、受けて、受けまくったが、落ち続けた。技量では負けていないのに、である。

この時日本に一時帰国し日本でバレーの先生として働くかたわら、スタバでもアルバイトをしてこれから先どうしようか考えていたという。

たが、あるとき恩師にこんなことを言われた。

「いつ、(海外に)戻るの?」

行く先を見失っていた純奈さんに、こうして「変化」の時が訪れた。そして、彼女はその瞬間を見失なわかった。

「欧州を主戦場にするのではなく、もっとリベラルなアメリカ、カナダ、オーストラリア方面で試してみよう。」

そう考えた彼女は早かった。もはやためらいはない。
戦場を北米に見定めた彼女は、見事サンノゼバレエに採用され、今年ソリストとしての地位を射止めたのだった。

こうした紆余曲折を経て、プロフェッショナルダンサーとして見事開花した純奈さん。その姿は、強く美しい。そしてその強さと美しさの両立は並大抵の努力で到達できるものではない。ましてや場所が海外となると競争は熾烈さを増し容赦がない。
しかし純奈さんは変化を厭わなかった。だからこそ成し遂げられたのだろう。

ダンサーとして舞台の上で踊る彼女は、ものすごく大きな存在に見える。堂に入っているとはまさにこのことだ。

もしシリコンバレーエリアに来られる際には、ぜひ見ていただきたい。舞台の上で華麗に踊る彼女の美しい勇姿を。

もしダーウィンが今に生きていたら、こう修正するかもしれない。

“…. It is the one that is the most adaptable to change, rather commit to change.

変化に「順応する」というのでは受動的すぎる。むしろ能動的に変化することを自分に「コミット」する。自分の持てるリソースがそこに集中したとき、本当のブレークスルーが生まれるのだ。

純奈さんの今後の益々のご活躍を祈っています。

 

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純名さんに直接インタビューした記事もあります。合わせて御覧ください。
http://svpl.wordpress.com/2013/06/13/junnaige/

 

 

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進化論2.0」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: その名を知らないものはいないホセ・カレーニョからパートナー指名された今、注目を浴びる日本人バレリーナ 位下純奈さん | Silicon Valley       Professional Lounge       -- Your Ca

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