iOS6 Map 問題 – それは王者の驕りか、新たな旅立ちへの序章か

  

「東京駅」を検索してみたら・・

iOS6のアップデート通知が来てたので、自分が使うiphone4sで早速乗り替えてみた。すでにiOS6のマップ問題が取り上げられているのは知っていたが、自分の目でも確かめたくトライ。

すると・・

テストした言葉

iOS 6 Map

Google Map

東京駅

No Results Found

OK

東京ディズニーランド

No Results Found

OK

Tokyo DisneyLand

No Results Found

OK

富士山

愛知県の見知らぬ土地
にヒット

OK

Mt Fuji

Fuji Sushi Japanese Cuisine

OK

Walt Disney World

OK

OK

なんなんだこれは・・と絶句してしまうような仕上がり。こういうのをデグレ(degradation)と呼ぶのでは・・。現在使用しているiPhone4sはキャリアとしてAT&Tを使っている。挙動的にその国のマップはその国のキャリア経由でないと、まともな結果はでてこないということなのか?USで日本の地名を検索するんなんてユースケース自体が間違っている、とでもいいたげなこの結果。Google Mapがフツーに動く以上、そのような言い訳はなんの説得力もありません。

シリコンバレーでは製品をリリースするときに、その製品(ソフトウェアを含む)の仕上がりについて、”Product Finish”という言葉をよく使う。日本語では「完成度」にあたると思う。その言葉には2つの意味があり、何を持って”Finish”とするのか、何を持たないことをユーザーに理解してもらった上で”Finish”とするか、という観点である。今回のマップは正直その2点がかなり不透明。

例えば完成には程遠いものを、マーケットで先行するためにリリースしないと行けない時、よくPhase Approachという手段で機能を段階リリースしていくということはよくやる。マップに関しても、最初は北米だけとか、もっと絞って主要都市だけとか区切ってやるというアプローチもあったはず。(思い出して欲しいGoogle Mapの出始めだってそうだし、Street Viewもそう。MSの3D Map viewだって、シアトル始め北米の数都市から開始した。)

米系メーカーとしてはめずらしくProduct Finishのレベルが高いということで、個人的にはアップルという会社が創りだしてく製品は好きだし、憧憬すら抱いている。当然Phase Approachだって検討されていたはず。

それだけに、今回のマップの件はかなり衝撃だった。株価700ドル前後、フリーキャッシュが2兆円以上ある会社が作る製品としてはあまりにお粗末すぎる。

そしてApple本社の採用情報を見てると、まるで慌ててGoogle Map経験者を採用しているかのようにも見えるんだが・・

http://www.apple.com/jobs/us/startsearch.html

今回の件が決して、「ユーザーはそれでもついてくる」という「王者の驕り」から出たのではなく、新しいレベルのUser Experienceへ向けての序章なので、ちゃんと次のバージョンで改修するよ、という「前フリ」であることを願うばかりだ。今のところGoogleへ何の打診もしていないところを見ると、後者だと信じたい。でないと、名門アップルにおけるプロダクトマネジメントの喪失となりかねない。

Google: No iPhone 5 Map App Yet
http://www.lightreading.com/document.asp?doc_id=225250

ということで、当面はSafariでGoogleMapを全画面表示するワークアラウンドで対応だな・・

http://www.lifehacker.jp/2012/09/120926googlemap.html

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すぐそばまで来たGreen Tech

Solar Powered Backpack
Green tech はもう身近なところに @ うちのオフィス付近にて

先日Green Tech系のニュースでこんな記事がでていた。

“Global Cleantech Market Expected to Expand to €4 Trillion by 2020, Germany to Capitalize”
http://cleantechnica.com/2012/09/17/global-cleantech-market-expected-to-expand-to-e4-trillion-by-2020s-germany-to-capitalize/

2020年までに”Green Tech Industry”が世界で約400兆円規模に達するという。本文を読むと、このカテゴリーのビジネスは2007年から年率12%でその規模が伸びており、2009年時点で予測していた今年の市場規模を、実際は軽々超えてしまった。(現在は200兆円規模)

そんな不況知らずなマーケットだが、ここシリコンバレーでも当然動きは活発だ。

Appleがクパチーノに建てる新社屋の屋根が全面ソーラーパネルになっていることはすでにご承知の人も多いだろう。

http://www.cupertino.org/index.aspx?page=1107

また、Green Tech系製品の製造を請け負うコントラクターのうち、世界トップ10が全てシリコンバレーにあり、うち6社がお膝元サンノゼにあるという。これらはあえてボリュームは追わず、”low volume, high mix of products”な体制を整えた結果だという。つまり、よいビジネスプランさえあれば加速するだけの土壌がすでに整っている。

Source: http://www.freshdialogues.com/2012/08/29/green-jobs-advice-from-google-solarcity-san-jose-city-vc-at-commonwealth-club/

こんな時代的背景もあってか、ブログトップの写真のような太陽電池を備えたバックパックを背負ったうちの会社の人がいるのを見て、いよいよGreen Techも身近なところに来たかと肌で感じた。

ちなみにこのバッグ、以下のサイトで買えます。お値段$149なり。ま、もう少しデザインがカッコよくなってくれればますます買う人が増えそうな気もするが。

http://www.voltaicsystems.com/

例えば自分のように自転車通勤する人にとって、乗ってる最中に毎日スマホやPCの充電ができてしまうことを考えると、かなり購買意欲がくすぐられる。年間で考えれば結構な電力消費削減だ。また、さらなる災害の恐れがある日本にとっては、サバイバルバックパックとしての価値もあるかもしれない。311のとき電話は通じなかったが、Twitterを介して連絡をとりあえたケースが多数あった事例を考えると、災害時にこうしたツールでとりあえずスマホが生きていれば完全にDisconnectされてパニックになるよりか、生き延びる可能性が上がるのではないか。(とは言っても、日本はCAほど晴れの日が多いわけじゃないので簡単な話じゃないかもしれないが・・)

今後マーケットの認知や、今回のかばんのような形態から製品のリーチが広がってくれば当然コストやデザインといった差別化競争が始まるわけで、下のようなかなり感性を刺激するデザインをまとった製品が今後もっと現れてくるはず。

Solar Powered Tent
Solar Powerを使って、テント内で空調がきく。お値段5000ドルから。

Green Techとデザインが交差した他の例としてFiskerを挙げたい。シリコンバレーで電気自動車と言えばTesla。Type S も Xもかなりシビレるスタイルだが、実はLAベースのFiskerもなかなか挑戦的なデザインをした電気自動車だ。クルマ好きの人は気づくかもしれないが、どことなくアストンマーチンに見える。それもそのはず、このデザインをしたHenrik FiskerはもとBMWのデザイナー。Z8や、その前にはアストンマーチンでDB9をデザインしている。

http://www.caranddriver.com/reviews/2012-fisker-karma-review

Fisker Karma

ということで、盛り上がりを見せるGreen Tech業界。シリコンバレーのGreen Tech系の会社は積極的に採用をしており、過去にこの手のビジネスや製品を手がけたことがあるかどうかは現在シビアに問うていない模様。(前述のfreshdialogues.comの記事より)

そんなわけで、このダイナミックな市場を先取りしたい人はぜひチャレンジを!

上流階級の嗜み in シリコンバレー


Garrod Farmからの眺め

先日自分の大先輩(以下A氏)に誘われて、ランチを共にさせていただいた。A氏はこれまでの日本とUSのIT業界の栄枯盛衰を肌感覚で知るという、自分のような若輩者にはものすごく勉強になる人だ。現在はベンチャー・キャピタルを営み、オールシーズンで各種スポーツやアクティビティを楽しむ、年齢を感じさせないハツラツとした人である。

そんなA氏が、今最も情熱を注いでいる乗馬の世界を自分に公開してくださった。なかなか見れる光景ではなかったので、記事にしてみる。

敷地内に入ると、穏やかな馬を題材に絵を描く人がいた。
時の流れがゆるやかで、ここがシリコンバレーであることを忘れてしまう。

乗馬のレッスンを行うエリア。障害物走の訓練を行ったりする。
馬も単なる乗馬、障害物、レース等々用途によっては飼い方も管理方法も違う。

A氏の案内で、敷地内トレイルをしばし散策。普段は馬で周るコースを歩いてみる。
最初からややキツめの坂道を登っていく。

途中傾斜面に広がる広大なブドウ畑。もちろんワイン用。
A氏いわく、ワイン用のブドウは斜面の方角がブドウの品種にも大きく影響するとのこと。

ん?なぜ地ならし?ワイン畑造成?
いえいえ。ここに家(というか豪邸)が建つ予定。
シリコンバレーはミリオネア・ビリオネアが続々と生まれる地。
その金の使い方もスケール大きい。

そしてこれがそのビュー。Silicon ValleyのValleyとは「谷」の意味。
それが良く見て取れるような光景。
うっすらと見える雲の下にいわゆるIT系の会社やベンチャーがひしめく。
きっとここに住む人はこの景色を見てはワインを傾けるのだろう。

散策途中で馬に乗馬中の人に遭遇。

犬の散歩を自転車でする人を
アメリカではたまに見かけるが、馬で散歩とは・・


ひとしきり歩いて、このファームの境界線に到着。
この先はサンタクララカウンティーが管理する山登りルート。

そのトレイル入り口で見つけた標識。
“If attacked, fight back”
この地でMountain Lionに襲われたら、最悪反撃しないといけないらしい。
やはり逃げ腰は相手につけ入れられるということだ。


踵を返し、下へ降りていく。途中で馬のストレス解消を行なっている場面に遭遇。


膨大な量の干し草

オフィスに近づいてくると、他の馬たちが迎えてくれる。

珍しいツートンカラー。品種は忘れました・・
リーマンショック以降、馬の世界でも価格が下がってきており1頭あたり、
$10,000(80万円)くらいから手に入るようになったとのこと。

もちろん、馬主となるからには買うだけでは済まない。
それを保管・管理してもらうファーム、怪我等に備えての保険、
馬を連れ出すとなれば馬専用トラック等々、求められるものは多岐に渡る。

A氏曰く、シリコンバレーに住む大抵のアッパークラスは何かしら馬を飼っているとのこと。
一発当てた人は馬を飼えば、それを通してネットワークが広がるかもしれません。


馬の表札

馬とて生き物。ましてや人間が想像する以上に馬は感性が鋭い。
よくテーマパーク等にある飼いならされた馬では、本当の意味での乗馬にはならない。

その馬に乗った人が自分を本当に扱えるひとなのか、馬はすぐに判断できるという。
馬自身がその乗馬する人を気に食わなければ、言うこと聞いてくれないしサラブレッド種にいたっては暴れるのだそうだ。

乗馬とは馬とのある種の真剣勝負、そしてコミュンケーションの積み重ねなのだ。
A氏曰く、

「馬に乗ったら、王になれ」

という言葉があるくらい、馬を本当に乗りこなすというのは実に人間性が試されること。


馬と対話するA氏。
まるで言葉を通わせているかのように馬が穏やかに反応する。

ちなみに、このファームでは自身で育てているブドウを使ってワイン作りをしています。
地元のWholeFoodsでも手に入るとのこと。

ということで自分には雲の上の話だったわけだが、
ご興味のある方、訪れる際には一度ご連絡を。

http://www.garrodfarms.com/

さてこのA氏、この度サニーベール市の都市計画政策委員会の一員として選任されたそう。そして驚くことに自分を政策ブレーンの一人として使っていただけるとのことに。プロダクトマネジメントと街づくりが交差する新しい試みができそうなので、今後の展開に期待だ。

進化論2.0

Ballet San Joseで活躍する純奈さん

強いことは生き残ることと必ずしもイコールではない。必要条件であったとしても、生き残るための十分条件ではない。それはここ最近のシャープの没落、サムソンの敗訴を見ててもつとに感じる。もちろんいかにして「強く」なるかということも大事なのだが、同時に「強い」ことを成り立たせる前提条件は、実は自分が想像する以上に早いスピードで変わっていることも忘れてはいけない。そして気づくのが遅れると取り返しの付かない痛みを伴う。

“It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is the most adaptable to change.”

およそ140年前、ダーウィンが「種の起源」で伝えたことは今なお普遍の真理なのだろう。

先日娘がバレエを習っているのが縁で、サンノゼバレーでプロフェッショナルダンサーとして活躍する純奈さんに話を伺うことができた。http://www.balletsj.org/company/ige.html

彼女の話を聞いて、これは進化論2.0だとでもいいたくなるくらいの衝動にかられ、ブログにすることに決めた。

純菜さんは5歳からバレーを始めた。最初は横浜にあるバレエ教室に通い、そこでの恩師との出会いが彼女の運命を後押する。彼女はとてもストイックだ。ここにそれを表すエピソードがある。朝早くに学校に行き、放課後はバレエ教室に毎日通った。リサイタルが近づこうものなら夜11時くらいまで練習するのはザラ。これが中高の5年間続いた。従って家族とまともに顔をあわせるのは週末だけ。父親と顔をあわせれば第一声は「ひさしぶり」という有様だ。とにかくバレエを踊るのが好きでたまらない、幼い頃から国立劇場でプロフェッショナルバレー団の中で、子役としても活躍してきた。
こうした生活が当たり前だった彼女は、勉強を含めて労を惜しまなかった。

そしてゆるぎない信念を基に築きあげた強さは、高校3年生の時にドイツ・バレエ学校への留学の道を切り開く。

ここでなぜドイツ?と思う方もいるだろうから補足。ドイツは欧州一の経済力を背景に芸術文化への投資を惜しまない。バレエはPerforming Artと呼ばれ、れっきとした国からの補助対象なのだ。よってその施設は非常に充実しており、バレエの本場欧州への足がかりとしては申し分ないステップといえた。

留学先のハンブルグではまるで天国のように感じたという。なぜなら日本では学校とバレエを両立せざるを得なかったが、そこでは1日の全てがバレエ中心にスケジュールされていたからだ。無論語学や芸術といった学術分野もあるものの、自分が望んだことを高いレベルで鍛錬する日々にこれ以上ない充実感を感じていた。

そして18歳の時最大の試練が訪れた。プロフェッショナルダンサーとしてのデビューである。

基本的にバレエダンサーはダンスカンパニーという会社に入社し、ダンサーとして働いて給料をもらう。カンパニーによっては労働組合もあるし、健康保険のサポート等福利厚生だってある。従って、いかにこの「カンパニー」に「就職」するかが勝負なのだ。

これまでストイックに自分を高めてきた純奈さんだが、ここで厳しい現実と向き合うことになる。欧米のダンサーは背が高く、体躯も大柄。日本人ダンサーがこうした中で並ぶとカンパニー的には「浮いて」見えてしまうのだ。ダンサーとして小柄な純奈さんは、技量とは別次元の戦いに苦戦した。

受けて、受けて、受けまくったが、落ち続けた。技量では負けていないのに、である。

この時日本に一時帰国し日本でバレーの先生として働くかたわら、スタバでもアルバイトをしてこれから先どうしようか考えていたという。

たが、あるとき恩師にこんなことを言われた。

「いつ、(海外に)戻るの?」

行く先を見失っていた純奈さんに、こうして「変化」の時が訪れた。そして、彼女はその瞬間を見失なわかった。

「欧州を主戦場にするのではなく、もっとリベラルなアメリカ、カナダ、オーストラリア方面で試してみよう。」

そう考えた彼女は早かった。もはやためらいはない。
戦場を北米に見定めた彼女は、見事サンノゼバレエに採用され、今年ソリストとしての地位を射止めたのだった。

こうした紆余曲折を経て、プロフェッショナルダンサーとして見事開花した純奈さん。その姿は、強く美しい。そしてその強さと美しさの両立は並大抵の努力で到達できるものではない。ましてや場所が海外となると競争は熾烈さを増し容赦がない。
しかし純奈さんは変化を厭わなかった。だからこそ成し遂げられたのだろう。

ダンサーとして舞台の上で踊る彼女は、ものすごく大きな存在に見える。堂に入っているとはまさにこのことだ。

もしシリコンバレーエリアに来られる際には、ぜひ見ていただきたい。舞台の上で華麗に踊る彼女の美しい勇姿を。

もしダーウィンが今に生きていたら、こう修正するかもしれない。

“…. It is the one that is the most adaptable to change, rather commit to change.

変化に「順応する」というのでは受動的すぎる。むしろ能動的に変化することを自分に「コミット」する。自分の持てるリソースがそこに集中したとき、本当のブレークスルーが生まれるのだ。

純奈さんの今後の益々のご活躍を祈っています。

 

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純名さんに直接インタビューした記事もあります。合わせて御覧ください。
http://svpl.wordpress.com/2013/06/13/junnaige/