Generational Archiving – ソーシャル時代に100年続く会社であるためには?

LE WEBというイベントをご存知だろうか?ヨーロッパで毎年開催されるWebテクノロジー系の巨大なカンファレンスだ。今年はロンドンで開催され、起業家、投資家、Developer、Tech Mediaな人々はもちろん、参加するスピーカー達にも旬な人々が現れる。写真にあるEvernote CEOのPhil Libinや、今年は楽天の三木谷氏も登壇していた。(http://london.leweb.co/2012/community/speakers)

このPhilの公演の中でEvernoteが抱える3400万人(うち4万人が有料会員)の収益性についての話があったりして、それも面白かったのだが、もう一つ興味深かったのはEvernoteが100年先も生き残る会社であろうとしていることだ。

BlackBerryで一世を風靡したRIMも今や社員の1/3の5000人をリストラしないといけないところまで落ち込んでしまった。次期BlackBerry10のリリースが2013年だそうだが、その前にiPhoneの次期リリースが先にでるだろうから、RIMは相当苦しい。スマホのトレンドを利用できなかった末路である。それだけテクノロジー企業は自らの進化のきっかけをつかむタイミングが命なのだ。なので、100年生き残るというのは簡単に言えることではない。

“We are going to build a 100 year company.”(16:30あたりから)

Evernoteであれ、FBであれSNSという文脈のみならず個人のライフログとしての性質も無視できない。自分の生き様が刻々と記され、その時々の記憶のトリガーとなる言葉、写真や動画がアップロードされ「自分の生きてきた証」がそこに溜め込まれる。

さて、問題はいつまでこれらの「証」がデータとして保存されていくのか?それこそ100年後も残るのか?

今年8月にはFBがアクティブユーザー数10億人を突破するという。一人1日3回投稿したとしよう。そのうち写真や動画、合わせて3メガバイトとすると、全ユーザーで30億MB。これはおよそ3000テラバイトが1日分の容量となる。(家電量販店で売ってる1TBのHDD3000個がたった1日でたまる)もちろん、全てのユーザーが毎日等しく3メガ分のデータをポストするわけではないので、実際はこのとおりではない。あくまで大雑把なシュミレーション。

そしてこの1日の容量に対し、さらに365日xそのユーザーが生き続ける年数ということになる。老いも若きもユーザーがあと平均で60年生きたとすると、およそ66エクサバイト(1TBのHDDが6600万個)のストレージを要する。(ユーザーの増減は考えてません)そんな膨大なデータをどうやってコストとのバランスを考えて貯めこむのか、また溜め込んだデータも使い勝手を損なわずに使えるようにするか。

ユーザーからすれば、溜め込んだデータはその人にとっての生き様なので失われては困る。(とはいっても、ファーストサーバーのトラブルの件もあるので、定期的なバックアップはこれからも必須だろうが。)

FBやEvernoteがここまで生活に入り込んでくると、あるのが当たり前で、サービスが使えなくなると窒息するような錯覚を覚える人もいるそうだ。そうなるとEvernoteが考えるように100年続く会社、預けたデータは死ぬまで保管し利用可能ということが、ある意味そのサービスを使い続けてもらうための至上命題にもなってくる。おそらく現在のユーザーはそこまで意識していないし、そもそも100年後同じサービスを使ってるのかどうかは全くわからないという感覚だろうが、提供者側としてはユーザーを長くつなぎとめるためにも無視できない問題だ。日本に100年以上続く老舗があるように、経営者の手腕次第でWebの世界にも100年続く会社がでてきたっておかしくない。

その意味で、上の動画でコメントされていたGenerational Archiving (世代を超えてデータを保存していく)技術というのは、エバーノートのようにユーザーのライフログを貯めこんでいくタイプのサービスには今後必須のものになっていくだろう。自分が知る限りこれに対応できそうなのは現状ZFSくらいしか思いつかないのだが、単にFile Systemだけの話でもない。Tera Byte -> Peta -> Zetta その上のYetta Byteスケールのデータを扱う世界は、サーチ・Network I/O・Storage・CPU周りのコンポーネントの進化によって、人間の知性を仮想的に再現させるレベルになってくると思う。(Siriがその先駆けか?)”2nd Brain”を謳うEvernoteが今後どんな変貌を遂げていくのか。Webテクノロジーは単にユーザーから見える部分だけの話ではない。その舞台裏にあるテクノロジーの進化も見逃してはならないのだ。

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TEDで話すようにプレゼンできたら・・・ と考えるあなたに伝えたい1つの提案 (後編)

 

昨日の続き。Toastmastersではどんな活動が行われ、どうのように英語のパブリックスピーチ力を上げられるのかというところ。

自分が参加したTMの会は週に1回12:00から13:00までの1時間、会社の会議室に20人-30人のメンバーが集まる。有志なので集まるメンバーのプロファイルは様々。開発の人、法務の人、SEの人、上から下の役職、インド人、フランス人、中国人、アメリカ人等々、ここでは上下左右の関係や人種は意味なし。あくまで全員「パブリックスピーチ力を上げるため」に集まってくるので、基本的にモチベーションは高い。

以下スピーチ力向上にTMが効く理由を4点挙げてみる。

 


1. ダメ出し & Feedbackのサイクルが1回完結

TMに参加してみてわかったのが、運営の隅々に己のスピーチにダメだしされる機会と同時に「ではどうすればいいのか」もその場で解決できる仕組みがある。まず、TMでのスピーチはガチンコ勝負形式。スピーチは2人か3人が7分スピーチを行い、スピーチをしない人たちが誰が一番うまいか投票する。ここで、同時にそのスピーチを評価する人も2人ないし3人事前に決める。評価する人のスピーチ力も同時にメンバーによりみられており、評価スピーチの1番も投票で決める。

そしてスピーカー以外は全員評価フォームにそのスピーチの良い所とダメ出し、並びに改善策についてアイデアを書き、会終了時に渡す。次のスピーチの時に何をすればいいのかが明確になるので、これはものすごくありがたい。

毎回その人がするスピーチには何らかの枠組みが事前に与えられており(例えば今日はアイコンタクトとスピーチのスピードに気をつけるとか)、その点がどの程度達成されているかがメンバーによりチェックされる。この枠組はTMに参加するともらえるテキストに載っており、10個完結すると、次のレベルへと進む。


2. スピーチの種類が多彩

一口にスピーチと言ってもいろんな場面があり、スピーカーは自分の好きな状況を設定できる。(TED likeにしたければそうすればいいし、学会発表のような場ならそう設定すればいい)また他にも笑いを取ることに特化したJoke masterと呼ばれるスピーチ枠も毎回用意されており、日本で通用するジョークが、グローバルな場で笑いをとれないことが多々あることを知る。(逆に欧米のお笑いのセンスも自分にはいまだに理解しずらい・・)

その他 Table Topics(TT)というものがあり、TT担当者がメンバーにテーマを与える。例えば「あなたはXYZについてどう思うか」といったテーマの場合、ある人がYesの意見を言えば、自分がそれに対して反論をぶつけてみたりする。ある時はFortune Cookieを1個選んで、その中にある占いの言葉を読んで、それについて自分の思いを話すとか。時間は1分。まさに即興スピーチだ。もちろんこれも投票によってベスト即興スピーチが選ばれる。

または、その日の司会進行役というスピーチ枠もあり、個別のスピーチの入れ替わりの間に顔を出しては一言コメントやジョークを入れ、スムーズに会を進行させるというのもある。


3. スピーチの印象を決める細部に対するチェックが入る。

スピーチの良し悪しを決める要素には以下の部分も考慮される。

– 余計な発言をいかに排除するか
話し中”Ah..”, “Well..”, “I mean..” といった意味は無いのだが話の中で何度も登場する余計な言葉だ。

– 指定時間内に終わるか(早すぎても、超過しすぎてもダメ)

– 文法にエラーはないか(特に時制の一致)

– 「本日の言葉」を使ってるか
例えば、会のはじめに今日は”coalesce”という言葉をスピーチのなかで使おうという宣言が出れば、スピーチ中その言葉をうまく使えると高評価につながる。
これは実際のスピーチの場で急にキーワードが浮上したときに、うまく即興で取り入れることを考慮した訓練。

これらの要素について会の中でチェックする担当を決め、スピーチ後に何回”ah”と行ったかとか、文法エラーにはどんなものがあって、どう直すべきかとか、時間はどうだったか、本日の言葉を何回うまく使ったか、といったことが全てレポートされる。



4.  仕事にすぐ応用できる

なんといっても、TMの会で学んだこと、気づいたことを自分のPDCAサイクルに乗せれば、日々の仕事の中での自分のコミュニケーションに変化が現れることに気づく。それをまたTMの場でスピーチにしてみて、ダメ出ししてもらって・・と、スピーチ力向上へのサイクルがここに構築されるのだ。

無論、TMの参加は一切強制ではない。ゆっくり進めたければそうすればいいし、アグレッシブに毎週スピーチ枠を取りに行くのもいい。(ただ、自分の経験上毎週というのは結構負荷が高い)出張その他時間が取れなくて参加できないなんてのもザラ。要は自分がいかに継続するか。求められるのはそこだけだ。

もしあなたが英会話というレベルを超えて伸ばしたいと感じていたら、パブリックスピーチという方向へシフトチェンジしてみるとグッと伸びてくることは大いにある。(自分がまさにそうでした。)


興味のある方はぜひトライしてみてください!

TEDで話すようにプレゼンできたら・・・ と考えるあなたに伝えたい1つの提案 (前編)

日本でもだいぶメジャーになってきたようだが、TEDというスピーチコミュニティーがある。コンセプトは”Ideas worth spreading”(世の中に知らしめる価値のある考えを広めていこう)ということとで、古今東西、著名も無名も、老いも若きもとがった考え方を持った人々が観衆の前でプレゼンテーションやパフォーマンスを行う。ノーベル賞受賞者とか、ある分野の研究の第1人者とか、起業家や、経営者から始まって、アート系、文学系、エンターテインメント系など幅広い人々がその考えを披露していく。その質の高い内容と聴衆を魅了するスピーカー達のプレゼンテーションスタイルが多くの反響を呼び、ここUSでも知らぬ人はいないというほどブランドを構築してしまった。今やTEDで話せることはある種のステータスとも言える。

東京でも 6/30 にTEDx Tokyoが開催されるそうだ。ちなみにTEDとTEDx は微妙に違って、xがつく方はあくまでオフィシャルのTEDの団体ではない。TEDに賛同して自主的に”TED like”なイベントを開催する人たちだ。(ちなみにTEDのConferenceに本当に参加するとなると、一人$6000以上の登録料が発生する。)

NHKがTEDを特集したのも相まって、日本でも注目が集まりTEDを利用できる英語学習サイトまで登場していた。(English Centralとか Oops! Study

さて、TEDに刺激されてこうした学習サイトで英語を学んでいったとしても、そのプレゼンテーション力まで身につくわけではない。TEDで話すスピーカー達を見て彼らは特別で、自分には到底及びもつかないと考えがちだが、決してそんなことはない。つまり、あのプレゼン力は鍛えれば身につけられるものであって、そのやり方が重要なのだ。

いわゆる「英語でのプレゼンテーションの型」である。その型を理解すると、TEDスピーカー達は決して飛び抜けたことはしていないことがわかる。そのしゃべる内容は飛び抜けていても、メッセージを伝える流れ、息遣い、構成はむしろ型に忠実と言って良い。

ならば、その型はどうやって身につけるのか?

実はTEDが始まる以前にこうした「人前で英語でプレゼンする場」というのはちゃんと存在し、今ももちろんある。しかも6000ドルもかからず、自分の場合たった年間50ドル。TEDほど戦略的にブランディングをしていないため、日本での知名度は今なおそこまで高くない。自分もUSに来てから知ったくらい。ただUSでは活動拠点の多さと、古くからつづている(1924年から)ということで、大抵の人は知っている。

それが、Toastmasters International (トーストマスターズ: 略してTM)である。

英語でのパブリックスピーキングスキルやリーダーシップを鍛えることを目的に創設されたNPO団体で、「トーストマスターズクラブ」は全世界に広がり、もちろん日本にも活動しているクラブがある。ここシリコンバレーでは概ね会社ごとにトーストマスターズクラブがあり、自分もJuniper US本社にあるこのクラブに参加した。

今からすると、そこでの経験は自分のパブリックスピーキング力を大きく伸ばしたきっかけだったと言える。TMとの出会いのおかげで、常に心配しながらやっていた英語でプレゼンが、むしろ楽しくやれるようになったと言えるくらいだ。その結果昨年(社内でだが)Best Speaker award をもらうに至った。

会話というレベルを超えて、多くの人前で話す英語のスキルをもっと上げたいと考えるなら、トーストマスターズでまずは自分のスピーチ力向上とプレゼンの型を体得することをおすすめする。その上で場数をこなせば、TEDのような場でのスピーチだって怖くなくなる。

ということで次回は実体験をもとにトーストマスターズでの活動がどんな感じだったのか、書いてみたい。

* ちなみに”Toastmaster”には「乾杯の音頭を取る人」とか、「宴の場での司会者」といった意味がある。

ある日のオフィスの光景

日本で働いていた時に、シリコンバレーのオフィスがどうなっているのか興味があった。映画で出てくるようなパーティションがあり、マネージャーたちは部屋があり、重役ともなると豪勢な部屋になるのか?とか想像していた。

実際に来てみて、確かにパーティションも部屋もあるのだが、うちに重役たちはそこまで豪勢な部屋ではない。オフィス内はここではお見せできないが、今回はうちの社食とその周りをご紹介。

社食入り口。Junos Cafeです。

カフェの中についてはコチラから。

まー食べれるものはピザ・バーガー類といったアメ食に始まり、常設でインド料理、サラダ・サンドイッチバー、そのほかローテーションで中華・イタリアン・日本食(すし・巻き物系)が登場する。

うちの会社は環境にも気を配る会社ということでこの地ではそれなりに有名。カフェ入り口付近にはそれが表彰されたり、メディアに取り上げられているのが飾られている。

よく見ると、真ん中のものはなんと、誰かが持ち込んだ朝日新聞の切り抜き。

記事にある通り、自転車通勤奨励してます。ちなみに自転車で通勤するたびにスタンプをもらえて、10個たまると$20ぶんの昼代がもらえる。

そしてもう一つ大きな取り組みが下のEVスタンド。日産Leaf達が列をなして給電中。こうした施設が各ビルにある。北米でのLeafの売上は6割がカリフォルニアからということで、シリコンバレーはかなりEV率が上がってきてる。

他にもこんなバスケやバレーボールをするところや、

気分転換に歩くには心地が良い小道があったり。

そして、今日は移動式ファーマーズマーケットが来ていた。

こんな感じで移動式XXにもバリエーションがあり、ヘアカット、歯医者、オイル交換、洗車が定期的にやってくる。(但しどれも無料でやってくれるわけではない。)

シリコンバレーの会社でもNASDAQやNYSEに上場するようなレベルになると、社員をつなぎとめるために満足度を高める施策を行う。そうは言っても人材の流動性の高いシリコンバレーなので、3年も経てばだいたい社内外で転職してしまう。ポイントは、社外に転職した人があの会社は福利厚生も含めていいよ、と話してくれれば他の人が入れ替わりで入ってくるのだ。こうして単に人材流出として捉えるのではなく、会社は人材を循環させる場所という意識がこの地にはある。